期待する効果を得るためには目的を共有しよう


秋が深まり、自転車に乗るのが気持ちいい季節になりました。
私はよく自転車に乗って事務所に行きます。夏場は暑かったですが、
この時期はとても気持ちよく通勤できます。

もう少ししたら今度は寒くて自転車に乗りたくなくなるんでしょうね。

新しい自転車を買ってから約1年半になるので、先日メンテナンスのために
購入したショップに行ってきました。

今回のコラムではこのショップで経験したことから、
「期待する効果を得るためには目的を共有する」
ということについて書きたいと思います。

このショップは購入後のアフターサポートがしっかりしていて、
またどのスタッフも礼儀正しく、感じの良い対応をしてくれます。

私の自転車を預けて約1時間後、ショップから電話をもらって自転車を
引き取りに。

一通りのメンテナンス内容の説明を受け、今後のメンテナンスのスケジュールを
相談して終了しました。

スタッフの方は店の前まで見送ってくれるのですが、その時に以下のような
お願いをされました。

「数日後、登録いただいているメールアドレスにアンケートの依頼が行くかも
しれません。もし来たら、回答いただけませんか?8点以下ならマイナス評価に
なるので、今回の対応に問題がなければ10点でお願いできたら
嬉しいのですが、、、。」

※(正確には8点はマイナス評価ではなく中立です)

この依頼を聞いて、このショップがネットプロモータスコア(NPS)を使っている
んだなとすぐにわかりました。

※NPSの詳細はこちら
https://www.nttcoms.com/service/nps/summary/

この自転車ブランドさんは全社として顧客ロイヤリティを高めたいという意図で
NPSを採用しているのだと推測されますが、スタッフさんが先に書いたような
依頼をしてしまうと正しい調査結果を得られなくなり、調査全体の意味を失って
しまいます。

企業経営に携わっているとこの事例と似たケースは頻繁に見ます。
今回のケースではスタッフさんに調査の目的が共有されていないと思いました。

現場スタッフさんは
「調査結果は自分の評価に使われるので、悪い評価なら自分の評価が下がる」
と考えたと推測できます。

スタッフさんの立場に立つとそう思っても仕方ないかという気はします。
ただ、経営側は個別のスタッフの評価というよりは、スタッフの対応を含めた
サービズ全般の満足度を聞きたかったはずです。

この調査結果と各店舗の業績を分析して、その改善点を見つけ顧客ロイヤリティを
高めたいというのが経営側の目的でしょう。

もしそうであれば、この目的を伝えておかないと経営側のやりたいことは
実現できません。

単に、
「調査するからお客さんに伝えてね」
という行動レベルの内容だけを指示すると、現場では思わぬ方向の解釈が進み
やりたいことがゆがめられてしまいます。

今回の場合は
「これは評価に使うのではなく顧客ロイヤリティを高めたいから、素直な感想を
聞いてください」
と指示するべきでした。

企業経営において各スタッフに指示をすることがたくさんあると思います。
全部が全部いちいち目的を伝えるということは不可能ですが、行動レベルの
指示が経営の目的を歪めることがあるということも意識しておくべきです。

各スタッフが目的の意識と理解が高い企業であれば問題ないですが、現実には
そのようなレベルの高い企業は少数です。

経験が少ないスタッフであればあるほど細かい指示が必要になりますが、細かい
指示の時こそ行動レベルの指示のみになりがちです。

社員教育をする際、行動を教えることは重要ではありますが、その目的まで説明する
ようにしたら一時的には手間がかかりますが、経営の目的を達成するという意味では
近道だと言えます。

例えば

「なぜ電話は3コールでとらないといけないの?」

「なぜ朝礼をするの?」

「なぜ整理整頓が必要なの?」

等々

また、私の経験では目的を共有するマネジメント法には以下の効果が出ます。

・目的を達成するためにどうしたら良いか考える機会を与えるので、
社員の自律的成長を促す

・目的を達成するための新しい手法の提案が出る雰囲気になり、社内の活気が出る

・指示されるのではなく、自分で考えて納得した行動なのでモチベーションダウン
が起こりにくい

もしも「なるほど」と思っていただけたなら、明日から「目的を明確にして伝える」ということをやってみてはいかがでしょうか?

色々プラスの効果がジワジワと出てきますよ。


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