「利益を目的にする会社」ほど経営が苦しくなる理由

今回は「利益を目的にする会社」ほど経営が苦しくなる
ということについて書いてまいります。
経営において、利益は重要です。
これは間違いありません。
しかし――
会社の目的は、利益を出すことではありません。
会社の目的は、
長く、安定的に経営し続けること
です。
社員とその家族の生活を守り、
顧客に価値を提供し、
社会の中で役割を果たし続けること。
そのために会社は存在します。
利益は、そのための条件です。
利益がなければ、会社は続きません。
利益がなければ、投資もできません。
利益がなければ、未来を選べません。
だから私は、利益は大事だと言ってきました。
しかし、利益は目的ではありません。
利益は、「会社を長く続けるための手段」
です。
では、会社を長く安定的に経営するために、
本当に必要なものは何でしょうか。
それは、
選択肢を持ち続けること
です。
経営とは、決断の連続です。
値上げをするか。
採用を増やすか。
新規事業に挑戦するか。
不採算事業をやめるか。
本当に怖いのは、
判断を誤ることではありません。
「やりたくても、できない」状態になることです。
例えば、
・値上げをしたいが、顧客ベースが弱くてできない
・若手を採用したいが、人件費の余裕がない
・設備更新が必要だが、キャッシュが足りない
・広告を打ちたいが、失敗を受け入れる余裕がない
このとき問題なのは、業績ではありません。
問題は、余裕がないことです。
余裕とは、例えば以下のことを指します。
・コロナのような突発的な不況が来ても耐えうる資金力
・挑戦してうまく行かなくても立て直せる組織力
・価格交渉を断れる営業力と精神的安定
・未来に投資できるキャッシュポジション
つまり、
「選べる状態」
です。
会社を長く続けるためには、
常にこの状態を保つ必要があります。
ここで、もう一つ大切な視点があります。
それは、
選択肢があるのに、使っていない状態です。
「今期の利益を最大化するために投資を見送る」
「利益率を守るために採用を控える」
「減価償却が終わるまで設備更新はしない」
今の利益の最大化という意味では一見、合理的です。
しかしそれは、
短期の利益を守る代わりに、
未来の選択肢を狭める可能性があります。
動けないことも問題ですが、
動けるのに動かないこともまた、
選択肢を活用していない状態です。
経営は、完璧な一手を当てるゲームではありません。
常に修正できる状態を保つ営みです。
今の利益を最大化することと、
会社を長く安定的に続けることは、
必ずしも一致しません。
短期の利益を追いすぎると、
余裕が削られ、選択肢が減り、
やがて「守る経営」しかできなくなります。
利益とは、余ったお金ではありません。
未来を選ぶための力です。
ここまで読んでくださった方の中には、
こう感じた方もいるかもしれません。
「理屈は分かる。でも、自社が本当に“選べる状態”
なのかどうかはどう判断すればいいのか?」
ここで必要になるのが、
“感覚”ではなく“数字”です。
私は経営コンサルとして多くの企業を見てきましたが、
選択肢を失っていく会社には、必ず数字上の兆候があります。
・手元資金は何か月分あるのか
・限界利益率は下がっていないか
・労働分配率は上昇していないか
・投資余力は確保されているか
「選択肢があるかどうか」は、
実は財務数値にすべて表れています。
問題は、多くの経営者がそれを見ないまま
判断していることです。
感覚で「まだ大丈夫」と言う。
経験で「何とかなる」と言う。
黒字だから「問題ない」と思う。
しかし私は、その“何となくの安心”の裏で
静かに弱っていく会社を何社も見てきました。
会社を長く続けたいなら、
まず確認すべきは何をおいても「数字」です。
あなたの会社は、本当に“選べる状態”にありますか。
それを客観的に測るための指標があります。
その一つが、すでにお伝えしている
「手元流動性」
です。
そしてこの数字に加えてもう二つ、
経営の方向性を決める重要な数字があります。
この3つを押さえるだけで、
「守るべきか、攻めるべきか」の判断は
驚くほど明確になります。
会社の目的は、利益を出すことではない。
会社を、長く、安定的に続けることです。
そのために、利益が必要なのです。
あなたの会社には、今、どれだけの選択肢がありますか。
そしてその選択肢を、未来のために活用していますか。
是非考えるきっかけにしていただきたいです。
※ここまえお読みいただきありがとうございます。
ここまでお読みいただいた方は、少なくとも一度は
「自社は本当に選べる状態か?」
と考えたと思います。
この問いを、今日だけの思考で終わらせないでいただきたいです。
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