第28回 中小企業にとって、未来を先取りする経営とは?


中小企業にとって、未来を先取りする経営とは?
 
 
皆さん、こんにちは。
今回のコラムでは「未来を先取りする経営とは?」ということについて考えてみたいと思います。
 
 
未来にどんなことが起こるかが仮にわかるとすると、経営者にとって業績を向上させる難易度は格段に低くなります。
未来に起こることに対してあらかじめ対策ができるからです。
 
 
しかしながら、預言者でもない限り、「〇月〇日にこれが起こる!」なんてことは言えません。(預言者が世の中に存在するかどうかも私は知りませんが)
ただ、経営において、ここまで正確な予想があればそれに越したことはないですが、ここまで正確じゃなくても、ある程度の未来が読めるだけで経営はやりやすくなります。
 
 
つまり、発生のタイミングについては多少ズレがあるかもしれないが、ほぼ確実に起こる未来というのは特別な才能がなくても予想できます。
 
 
例えば、社会面の変化としては、人口減、少子高齢化、女性のさらなる社会進出、環境意識の高まり等があります。
また、今注目のテクノロジー面では、IoT、ブロックチェーン、5G(6Gという話も出てきました)等が注目されています。
 
 
これらの変化は、何年後にどうなるかについての正確なことはわかりませんが、ビジネスの世界に影響を与えることは確実と
言えるでしょう。
 
 
これらの世の中の変化により、「自分たちの顧客がどのような影響を受けるのか」、また「その結果自分たちのビジネスに対してはどのような影響があるのか」を考えた上で戦略を立てることが大切です。
 
 
そのためのフレームワークとしてあるのがPEST分析です。
このPEST分析は世界一有名なマーケティング学者であるフィリップ・コトラーが考案しました。
フィリップ・コトラーは、ビジネスのマクロ環境に影響を与える4つの大きな要因として、
Politics(政治や規制等)、Economy(経済状況)、Society(社会の変化)、Technology(技術革新)
を挙げています。この4つの頭文字をとってPEST分析といいます。
(この詳細はネットに山ほど解説がありますのでそちらにお任せします)
 
 
最近はEnvironment(環境)とLegal(法規制)を別出しして、PESTELという人も居ます
(本質的にはPESTでカバーできると思いますが)。
 
 
この4つの切り口から、自社の経営に確実に影響を与える要因がどのようなものであるのかを考えてみましょう。
中小企業や大企業の一部門の経営コンサルティングをしていると、これら外部要因の変化に対しほとんど意識していない経営者や管理者が数多くいることに気が付きます。
 
 
とくに社歴が長い中小企業では、今までそんなことを考えなくても目の前にある仕事を真面目に淡々とやってくればある程度成長できたので、外部環境変化についての意識がかなり薄くなってしまいます。
 
日本経済が右肩上がりに成長していった時代は、外部環境を考えるよりもまず「造る」ということが求められたのでそれで良かったと思いますが、さすがに現代はそうはいかなくなりました。
 
 
一方で、規模が小さい中でも成長力が高いベンチャー企業の経営者は外部環境への感覚が鋭くあります。言い換えると、成長力の高いベンチャー企業は外部環境の変化を上手くとらえることで成長余地の高い市場を見つけ、その市場にいち早く参入していきます。これができなければ急成長を目指すベンチャー企業を作ることは難しいでしょう。
 
 
中小企業の経営では簡単には市場を変えることはできませんが、今の市場でのポジションを守るうえでも外部環境への対応は必須になります。この点はベンチャー企業の経営者の考え方から学ぶべきところは大いにあるでしょう。
 
 
中小企業は経営資源が限られており、その限られた資源をどこに振り向けるかはかなり重要な意思決定となります。
 
 
目の前の業績だけでなく、中長期を見据えた経営をするために確実に起こる外部環境の変化を捕らえ、
「今の自社は何を変えなければいけないのか」
「自社が行ってきた経営で、何を守り続けなければいけないのか」
を定期的に問い直すようにしましょう。


この問いを踏まえた上で立案された戦略に基づく経営が
「未来を先取りする経営」
になります。
 
 
※未来を先取りする経営を実践するためには、中長期の競争環境分析に基づく中期経営計画を作成し、そのPDCAを回していくことを強くお勧めします。

 


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