第021話 成功する経営者はお金を払って得をする。失敗する経営者はお金を払わず損をする


 

 

ベンチャーや中小企業、資金が潤沢にある会社は素晴らしいですが、なかなかそうもいかないというのが現実ではないかなと思います。たくさんお金は入ってきてほしいし、出ていくお金は最小にしたい、というのは本音ですよね。

 

私が見た中で感じるのは、成功する経営者は払うべきお金はしっかり支払い、支払った以上の得をします。
一方で、失敗する経営者は払うべきものまで払わずに、結局は損をしています。
不思議に思われるかもしれません。お金払わないほうが会社にお金が残るので、失敗しないのでは?と思う方もおられると思います。

 

ではなぜそうなるのか、3つの視点から述べたいと思います。

 

〇強いパートナーシップが組める

クライアント先の社長さんから次のような相談を受けたことがあります。

 

「ある取引先(A社とします)の支払が数千万円単位で遅れているんです(これはさすがにビックリしました!)。連絡も取れたり取れなかったりで困ってしまって、、、。

その割に新しい開発依頼は届くし、こちらが納品しても仕様と全然違うとイチャモンを付けて支払おうとしないんです、、、。」(ちなみに仕様書はなくて口頭のみで伝えられたそうです。そもそもそれで受託した側も問題がありますが)

 

空いた口がふさがらないというか、驚きでした。

よく聞くと、この取引先はたびたび支払遅れがあり、かつ遅れるとの連絡も何もないと。

クライアントさんの企業規模からすると、倒産の危機になっても不思議じゃない金額でした。

 

「追加の取引はやめて、取引は再開するとしても今の未払を全て完了してからにしてください。でも本当は取引やめた方がいいですよ。また支払いませんよ。」

 

とお伝えしました。

 

私のクライアントさんは、その取引先が開発している新製品のコアになる部分を引き受けていました。私のクライアントが仕事を止めると当然開発は進まないわけです。

 

もしかすると、支払いができなかったのかもしれません。しかし、それならそれで頭を下げて「もうちょっと待ってください。いついつまでに支払います」と説明すべきです。この取引先はそれすらなかったらしいです。(後から分かったのは、資金的に余裕があるわけではないが、支払えない程ではなかったらしいです)

 

支払わない上にイチャモンを付けてくる、という取引先、皆さんならどうしますか?

 

恐らく関係を切るという方も多いのではないでしょうか。私ならそうします。結果、誰が損をしているのか、というと、未払を受けた私のクライアントも損をしていますが、一番損しているのは、この取引先だと思います。

 

リソースが限られるベンチャーや中小企業は特に当てはまりますが、外部のキーパートナーと強い結びつきを築くことは経営上極めて重要です。支払をきっちりすることで信頼を築き、キーパートナーからより強い協力を得ることができ、結果として得をすることができます。

 

 

〇新たなパートナーを得やすい

信用と関連する話ではありますが、しっかりと支払って信用を得ることにより新しいパートナーを得ることが可能になります。

 

支払うということは感謝を形で表すとも言えると思いますが、支払をしない人は他人に紹介できないですよね。紹介するということは、ある意味「付き合っても大丈夫ですよ」というお墨付きをこちらが与えたことになります。支払をきっちりしない取引先を普通は紹介しないです。お金は一番トラブルになりやすく、かつ一番抱えたくないトラブルです。そうなる危険性が高い相手をわざわざ紹介しないです。

 

先に出したA社みたいな会社、皆さんなら他社に紹介したくないですよね。

 

一方、しっかりと信用を築いている会社にはどんどん新しいビジネスパートナーの紹介が付いてきます。1点目に書いた「強いパートナーシップ」が組めている会社であれば、どんどん紹介をしてくれるようになります。これが結果としてビジネスの拡大につながるわけです。

 

良い取引先や良い人は紹介したくなるのが人情だと思います。その逆もそうです。

 

「仕事は人が持ってくる」と、かつての上司から教えられたことがあります。人に仕事を持ってきてもらうためにも、それにふさわしい立居振舞を会社としてすべきです。

 

〇要求通りの仕様を求められる。結果ビジネスの拡大につながる

非常に当たり前ですが、きちっと支払う準備があるから品質を求めることができます。支払わないと「支払ってないのに何を言っているんだ」と言われても仕方ないですよね。

 

事前に仕様を詳細に詰めておくというのが大前提ですが、その前提で契約し、支払うのであれば当然それなりの品質を求める権利が出ます。

 

そもそも発注しているということはビジネス面で何か解決すべき課題があり、その課題が解決されることでビジネスが前に進むから発注しているわけです。これには当然、品質を求める必要があります。

 

私が生業にしているコンサルティングのような無形サービスがわかりやすいと思います。時々ですが、無料で私に経営のアドバイスを求める人がいます。もちろん、簡単にお答えできる内容はお答えしますが、無料である限りは当然責任は負いません。

仮に私のアドバイスが全く的外れでも、「文句言われる筋合いはない」ということになります。(そんな的外れなお答えはしないように努力はしますが)

 

一方、契約に基づいて仕事としてお受けしている場合は品質には責任をもってやります。当然無料で求められるアドバイスとはレベルが数段違うアウトプットを出します。

 

そのうえでもしも仕様を満たしていないとなったとすると、当然仕様を満たすように要求することができるわけで、私は仕様を満たすように責任をもってコンサルティングをするわけです。これは契約に基づくからなんですね。

 

先の例のように、無料で頼むということは現実的にはほとんどないと思いますが、支払をしていない、あるいは支払が遅れている段階でいくら相手に品質を求めても100%の対応は得にくいと思います。

これは結局自分が損をすることになります。「こちらは約束を守るから、そちらも約束を守ってください」というと筋は通ると思いますが、「こちらは約束は守りませんが、そちらは守ってください」というのは無理がありますよね。

結果、自社が思っているようなパフォーマンスを相手に出してもらえず、自分達のサービスや製品も思う通りに作れないという事態が発生します。結果、取引先をコロコロ変えるだけで何の進展もないという状態が続くことになります。当然自社の製品・サービスの質もあがることがなく、ビジネスも進展しないことになります。

 

 

以上、3つの視点から考えました。

もちろん、払わなくて良いお金は払う必要はないですし、できるだけコストを削減しようというのは経営努力として極めて重要です。

ただ、近視眼的に「できるだけ払わない」というやり方をとり、長期的に損をするよりは、払うべきものはきっちりと払い、長い目でみた「得」をとるほうが経営としては安定しますし、発展しやすくなります。

 

 

 

 

 

 

 


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